「好きな仕事」の売り方
前回の記事(リンク)で、
カフェという名の肩書を名乗り、
その上で新しいことをしたい、ということを述べました。
ここで、少し昔の話に遡って、
私が店を作ろうと思ったきっかけについて語りたいと思います。
以前は「私はインテリアが好き」だと思っていました。
それでインテリアショップでアルバイトしてみたり、
インテリアコーディネーターの勉強をしてみたりしましたが、
住宅のインテリアにおいて重視される「動線確保」や「使いやすさ」などに
ほとんど興味がないことに気付きました。
私にとって重要なのは
「その空間にいて、わくわくできること」。
たとえば、映画のセットやロケ地だったり、
ロンドンに実際にある「ホームズの家」とか、
ディスニーランドにある「ミッキーの家」とか。
そんな、物語のある世界観に強く惹かれます。
なので、
「空間を装飾して、世界観を作り上げることが好き」
と言い換えることにしました。
今は自宅であれこれ作って楽しんでいるだけだけれど、
この空間をもっといろんな人に見てもらいたい。
この空間に入った人が、ここで何を感じ、何をするのか見てみたい。
だから、自分の作った空間を「作品」として展示したい、
そして、その作品を展示する場を作りたいと考えました。
インテリアショップに行けば、商品を売るためのディスプレイはされているけれど、
そういう「売るためのディスプレイ」ではなく「見て楽しむための作品」。
イメージとして、例えば水族館。
水族館は、そこにいる魚を食べさせる(例えば寿司屋)わけでもなければ、
売る(例えばペットショップ)わけでもない。
寿司屋にも生け簀があったりしますし、ペットショップにも水槽はあります。
でも、それはあくまで
「売り物を売るために展示している」だけです。
対して水族館は、
見る人を楽しませつつ、魚たちについて知ってもらうことが目的ですから、
天井まで全てアクリル面になっている大迫力の水槽があったり、
魚の習性を利用したパフォーマンスがあったりします。
「モノ消費とコト消費」などと言われたりしますが、まさに。
商材とされているものがまるで違います。
そしてここもポイントなのですが、水族館に行く人たちって、
必ずしも魚好きに限らない。
雨の日のデートや家族で行くレジャースポットとして市民権を得ています。
だからインテリアやディスプレイに興味がない人でも、
気軽に触れて、気軽に使ってもらえる場があっても良いのではないでしょうか?
そういう思いがあって、
「空間という名の世界観を展示する店を作りたい」
という動機に繋がりました。
そして、いきなり「世界観の展示」では入りにくいでしょうから、
看板として「カフェ」の肩書を借りることにしたのでした。